石巻は一昨日雪が降りました。
春めいてきたこの3月に、雪が降ってくると嫌でもあの日を思い出します。
東日本大震災から丸6年。
お亡くなりになられた方は七回忌になります。
あらためまして、ご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様とご家族の方々に心よりお見舞い申し上げます。
私どもの会社、湊水産株式会社も地震と、その1時間後に襲った津波により壊滅的な被害を受けました。
石巻の多くの方が被災し、思い出したくないような体験をしました。
同じ石巻でも津波が到達しなかった地域から、湊地区は生きている人はいないと噂されたほど変わり果てた姿でした。
でも、私達は生きていました。生き延びました。
生かされたのかもしれません。
津波を見た瞬間、みんなで駆け上がった冷凍冷蔵庫の2階。
基礎工事の杭に126本も入れて頑丈に建てていたため、地震にも津波にも負けなかったこの建物が、
急遽、およそ2ヶ月間最大時で70人もの避難所になりました。(現在、この建物は石巻市から津波避難ビルに指定されています。)
この時の避難所運営経験が、今も私の頑張る原点になっています。
「辛い時こそ笑っていよう」
すると、何とかなるんです。
もうひとつ、
「それはちょうどいい」
この言葉に、どんなに気持ちを楽にさせてもらったことか..。
震災から6年目のこの1年は、湊水産にとって、新しいことへ挑戦の連続でした。
一番大きかったのは「事業所内保育園」をはじめたこと。
会社の中で保育をする、と社長の一言で一般社団法人プロジェクト結の皆様のご支援により、社長室とその隣スペースを託児ルームにリフォーム。
昨年の4月から、5名の保育士の先生たちと社員の子どもたちから保育をスタートしました。
水産会社としては宮城県初の事業所内保育。
現在は地域で働く住民の方々のお子様も預っています。
今年の7月には、内閣府の企業主導型保育事業により、新しく建てる床暖房完備の園舎で定員19名の入園が決まっています。
当社の社員だけではなく、石巻で働くお母さんお父さんを応援し、石巻が暮らしやすい街になることにも挑戦していきたいと思います。
石巻が元気になる、そんな取組みのひとつ、湊水産も含む石巻の10社が集まって、「石巻うまいもの株式会社」を設立し活動をはじめました。
震災前からシャッター街と言われていた立町通りに、都市計画のもと建てられた複合施設の一角に新店舗をオープン。
業界を超えた仲間たちと一緒に挑戦しています。
そして、今や口コミだけで予約が入る、「たらこ、つくろう。」の体験型食育イベント。
この1年で、石巻市内の学校や社屋での開催の他、県外からの出張開催の依頼にも挑戦しました。
京都の立命館大学や、大阪市立白鷺中学校、東京神谷町のレストラン、山形市へも出張いたしました。
石巻市にある会社にもたくさんお越しいただきました。秋には工学院付属中学校の修学旅行生も受入れました。
大崎市自治会の研修旅行には65歳以上の皆様も参加されておりました。
そして、11月には参加者総数が、なんとっ、1,000人を突破しました!!
楽しい、おもしろいと感じてもらい、喜ぶ笑顔を見られることは、本当にうれしいです。
そして、体験後の感想を聞く度に勇気が湧き、この活動をずーっと続けていく励みになっています。
今日から7年目。
思い通りにはいかない現実の中でも、自分たちがやりたいことを夢中で頑張れる年でありたいなと思います。
そして、今年7月に完成する新園舎の中で、震災後に生まれた子どもたちが安全な環境で安心して暮らせるように、
未来のある子どもたちを、地域の皆様と一緒に育てていきたいと思います。
「手間」と「時間」をかけて、ひとつひとつ丁寧に、
愛情いっぱいかけてつくり上げる「愛情たらこ」のように、
一歩一歩、着実に前へ前へと進んでまいりたいと思いますので、これからも変わらぬご愛顧を賜りますようよろしくお願いいたします。
平成29年3月11日
湊水産株式会社
愛情たらこのみなと
店長 木村 朱見